設計監理方式による大規模修繕工事 6/6
有用な設計監理方式と今後の課題
不適切コンサルタントの存在が管理組合の間でも広く知られるようになり、それを防ぐ方策も種々提言されているが、事業として実施する企業も出現してきた。その中には不適切コンサルタントを排除するために、設計コンサルタントそのものを排除する考えや、「設計監理方式」そのものを否定した内容も見受けられる。 これらの多くには誤解に基づく間違いもあり、設計監理方式の有用性・必要性について述べるとともに。新たに生まれつつある不適切問題を論じてみたいと思う。
■不適切の方策と問題点
次に示すのは不適切コンサルの不正を防止するための方策として一般的に提示されている代表例である。
設計コンサルタントを業務の一部から排除する方策として、具体的には工事施工者選定業務等への関与から除外したり、選定工事業者名を匿名とし、特定業者への不当な優遇措置などが出来ないようにしする方策である。さらに「設計監理方式」を否定した「設計(責任)施工方式」を基本とした新たな策として、工事の具体的項目・内容や工事費用の全てを複数の工事会社側から個別に直接提示させる方策である。
いずれの方策を採用するにしても、管理組合単独では実施できず、新たにこれを支援するコンサルタントの導入を必要とする。その費用が追加されるが、それに見合うだけの設計コンサルタント費用を減ずることが可能とは限らず、むしろ増額すると考えられる。さらに、そのコンサルタントによって同様な不正を行われないとも限らず、むしろ不正のリスクは以前より高くなる。
■設計監理方式の有用性
不正を行うほんの一部のコンサルタント(設計事務所)が問題なのであって「設計監理方式」そのものには全く問題がなく、その有用性に変わりは無い。
大規模修繕工事においてはどのような形態をとろうとも、工事施工者とは別に調査診断・修繕設計・施工者選定(支援)・工事監理の具体的業務を行う専門家が必要で、それが「設計コンサルタント」であり、そのような方法が「設計監理方式」である。
適切な工事会社を選び適正な工事費で発注し、満足できる工事を実現する事は、工事内容の殆ど全てを工事会社に依存する「設計(責任)施工方式」では非常に難しい。
■続く新たな不適切事例
この数年、マンション大規模修繕に纏わる「不適切問題」の新たな事例が発覚している。
昨年春には大規模修繕工事における談合の疑いで、公正取引委員会が工事会社30社程に立入り検査を行った。さらに談合実態解明のためにこの工事に関係した設計コンサルタントに資料提供を求め、このコンサルタントの選定に関わった管理会社を含めて調査している。これは単なる工事業者の談合という不正だけではなく、管理会社・コンサルタント(設計事務所)・工事業者の三者が結託した不正とも考えられる。
工事会社の社員が他所のマンション管理組合の区分所有者に『なりすまし』て理事・修繕委員等になり、委員会での発言・活動を通じて大規模修繕工事の受注を誘導していたようで、設計コンサルタントの選定にも関与していた。
さらに工事業者などが大規模修繕工事の近い大型マンションの一室を買収、区分所有者として理事や修繕委員となり、工事受注の画策をする事例(利益相反行為)も指摘されている。
このようにマンション大規模修繕工事に関係した「不適切事例」において不正を行う者は、工事会社・管理会社・設計コンサルのみならず、管理組合内部の関係者にまで及び、新たなステージへと広がっている。
■今後の課題
どのような業界・企業においても不正を行う者は存在する。現在の不適切コンサルタントが生まれた一因には、監理組合側の選定基準が見積金額に偏重していたことも否めない。これは工事業者の選定においても同様である。
マンションの大規模修繕工事を「設計監理方式」で行うことは、記述の通り、管理組合の性格上当然で、さらに「設計コンサルタント」の採用は必須である。多くの設計コンサルタントは、管理組合の側に立ち真面目に業務を行っている。一部の不適切コンサルタントを理由に設計監理方式を否定するのは間違いである。
私共クリーンコンサルタント連合会(通称CCU)は十年前の設立以来、管理組合にとっての設計コンサルタントのあるべき姿を提示し情報発信してきたが、これからもその思いと責任を痛感している。(おわり)

